【対談】坂井ひでたかが創る、安心と安全な佐賀市。

坂井ひでたか(右)と原勝則さん(左)

 

近年の異常気象により水害が増えた佐賀市。それに限らず自然や環境の変化や、コロナ感染の蔓延、少子高齢化による福祉の充実の問題など、様々な対応が今求められています。それらのことを踏まえた佐賀市の未来構想について、坂井ひでたか弁護士と原勝則元厚生労働審議官のお二人にお話をしていただきました。

原勝則さん 元厚生労働審議官
原 さん

昭和30年(1955年)佐賀市富士町生まれ。佐賀西高から早稲田大学政経学部に入学。在学中に父を癌で亡くし「がん対策をやりたい」との思いから昭和五十四年に旧厚生省に入省。以後医療保険の畑を長く歩き、老健局長や国民健康保険課長を歴任。そして内閣総務官などとして七人の総理、九人の官房長官に仕え、政治の中枢を見てきた、日本の福祉行政の頂点的な存在。東京都在住。

 

自然災害から佐賀を救え

坂井 原さん本日はお忙しい中ありがとうございます。今夏の豪雨も酷く、被害に遭われた皆様には、心からお見舞い申し上げます。
年々佐賀をはじめ日本は異常気象が増えているようですが、原先輩のご実家やお知り合いのところは大丈夫だったですか?

 佐賀市は今年も山間部の土砂災害や平野部の冠水など、被害に遭われた方々には、心からお見舞い申し上げます。私の実家は富士町なのですが、令和元年の「佐賀豪雨」の際には、実家の近くの裏山が崩れて村の神社が倒壊し、家の横まで土砂が押し寄せて大変だったです。

坂井 今年の豪雨も令和元年8月の降水量を上回るほどの記録的な大雨でした。令和元年は、佐賀では死者3名、重傷者3名、家屋の全半壊等約千棟、家屋浸水等の住宅被害は約6千棟と、近年まれに見るほどの大きな被害が発生しました。当時国土交通省で水害対策の担当部署に所属していた私は悲惨な報告を聞き、すぐにでも佐賀市の手助けをしに行きたいといてもたってもいられない思いでした。

 まだまだ水害や台風は、増えていくでしょうね。私が内閣総務官として官邸にいた時も、東日本大震災をはじめ様々な災害が日本各地を襲い大変でした。私の仕事は緊急時の臨時閣議を招集する事などでしたが、その当時6強以上の地震があると、深夜でも自動的に呼び出しがある。政府の最重要対策としての「災害対策」が、年々重みを増していったように思います。

坂井 はい。近年、1時間の降水量が50ミリを超える強い雨が降る回数が増えています。
1976年から1985年の10年間の強雨の年間発生回数が平均174回だったのに対し、ここ最近の10年では平均約232回と、約1.3倍に増加しています。
また地球温暖化のために、今後南極や北極圏の海氷が解けて、地球の海水面が上昇するとも言われています。海抜が低い佐賀市は、未来のリスクも睨んで万全の対策を施さなくてはいけません。

 坂井さんには防災の最高機関である国交省で培った様々な知恵と経験があるでしょうから期待しています。市民の皆さんも自然災害に対する備えが必要でしょうね。

坂井 例えば水害の備えとして「土嚢」などを準備するのが大変、というような高齢者の声を聴いたことがあります。しかし重たい土嚢を用意しなくても、例えば佐賀市のごみ袋を2枚重ね、中に水を半分ほどいれて土嚢代わりに並べる方法や、2ℓペットボトルやポリタンクに水を入れてブルーシートで包み、壁にして玄関に設置するなど、いろいろな方法があります。そんな情報もどんどん発信していきたいですね。

原 命と財産を守るのが自治体のリーダーの一番大切な役割。福祉や医療行政に長く携わってきましたが、この頃は福祉に「防災」の視点が重要だと思っています。病院などの施設は災害で停電したら命に関わる。自家発電システムの完備など、どうぞ坂井さんが災害対策のプロとして培ってきたノウハウを活かして整備を頑張ってください。

大雨の時の様子(佐賀市) 1時間降水量50mm以上の年間発生回数(アメダス1,000地点あたり)のグラフ

 

アフターコロナ、ウイズコロナ

坂井 ワクチン接種も進み、一度は終息に向かうかと思われたコロナ禍ですが、デルタ変異株のせいで、かつてなかったほどの感染拡大を迎えています。本当に心が痛みます。厚労省にいらっしゃった原先輩の周りではどんな変化が生まれていますか?

 コロナの時代は、子供たちが本当にかわいそうです。友達と触れ合いながら遊ぶこともできない。大学生などはずっとリモート授業で友達さえつくれない。一番深刻なのは赤ちゃんがマスクのせいでママの顔が見えず、表情から情緒やコミュニケーションを学ぶことができないこと。これは実に由々しき問題と言えます。

坂井 教育や福祉の現場でのご苦労は、並々ならぬものと推測します。このコロナ禍は、単に伝染病というだけではなく、これまでの文化や生活様式、人と人の生き方まで世界的に変えるような世紀の脅威です。我々は市の行政サイドからも、このコロナ禍が市民活動に与えている影響を分析し、集積することでこれからに備えなくてはいけません。私には国で働いた人脈や、国とのネットワークがあります。厚労省のビッグデータなども活用して、佐賀市のコロナ対策、そして医療福祉に全力で取り組みたいです。

 このコロナ禍での飲食店の売り上げも悲惨です。佐賀市は市独自のコロナ対策もしっかりとってくれていたと思いますが、かたや佐賀県や武雄市などの自治体のトップの情報発信が実に早かったのに対し、佐賀市が遅かったということをいう人もいました。飲食店やそこに納入している農林水産物の業者さんたちの為にも、これからはもっとスピーディーな情報発信が必要では?

坂井 今の市政もいろいろとよくやっていらっしゃると思います。しかし、世の中の求めるスピードはそれ以上に加速度を増している。時代の要求に応えるためには、リーダーは24時間自分の声明を発表できるようなシステムを構築すべきなのではないかと確信しています。
幸い今は、さまざまなSNSや動画配信システムがありますので、私が市政のリーダーになれば、庁舎外や自宅、極端な話海外にいても声明や動画配信ができるようにしたいと思います。

 坂井さんがリーダーになれば、どんなコロナ対策を行いますか?

坂井 まずは、先ほど申し上げたように、対策を次々にスピーディに発表します。また、支援対策を行う地域振興券等を発券するのはもちろんですが、厳しい売り上げに直面している飲食店・地場企業、それに食材の需要減で窮していらっしゃる農業漁業者、酒造メーカー、酒屋さんなども広く救済策を施したいですね。

 それは頼もしいですね。

坂井 ありがとうございます。原先輩のようなプロフェッショナルのご意見やご指導も仰ぎながら、医療や福祉従事者の皆さんにも手厚く支援を行っていきたいと思います。とにかくコロナが終息するまで先頭に立って闘います。

 佐賀にはいろいろ地域の医療を守っている病院がありますよね。そういう福祉や医療の拠点は大切にしていって欲しいと思います。

坂井 はい、例えば原先輩の実家そばの富士大和温泉病院など、佐賀大学医学部附属病院などと連携して機能を充実する方法もあります。
地域医療連携法人などの手段もありますし、とにかく地域医療も守っていく所存です。

注射器を持った女性 富士大和温泉病院の外観

 

どうなる、未来の佐賀市

 さて坂井さん。「佐賀市の未来」は少子高齢化・空き家の増加、農業の荒廃などで衰退に向かっていく、という人がいますが、どんな未来地図を描いていますか?

坂井 現在人口23万人の佐賀市ですが、国立社会保障・人口問題研究所の試算によると20年後の2040年には人口が19.2万人、そして40年後の2060年には15万人と、今の人口の半分ちょっとまで減少するという衝撃的な試算が出ています。

 それはショッキングな試算ですね。

坂井 たしかにそうなると人口減により税収も減り、様々な住民サービスやインフラが低下するのではないだろうか、という懸念もありますが、ここが知恵とアイデアの使いようだと思うのです。ダウンサイジングした中で幸福な社会に再構築すればいい。AIやITを駆使して、また様々な効率化や地域ネットワークをさらに活用することで、必ず「幸福」感を損なわない未来が創造できると思うのです。それが私が提唱するスマートシティ構想です。

 否定的なことを言わず、新たな市政の在り方を目指す若さの坂井さんに期待しています。
私はこれまで自分の生き方の信条として「誠実」、そして仕事には「粘り強く取り組む」ということを心に掲げて生きてきました。坂井さんもぜひ自分の信条を大切に、若さを活かして大胆に自由な発想で未来に挑んでください。心から期待しています。

坂井 ありがとうございます!私も誠実にそして粘り強く壁を乗り越えていきたいと思います。
今日は、いろいろお話しできてよかったです。佐賀市の未来のために、どうぞ今後ともお力をお貸しください。本日はありがとうございました。